「裏読み深読み国語辞典」(石山茂利夫著:草思社刊)を読んだ。
この本で、岩波書店の「廣辭苑」は相当ひどい国語辞書だということがよくわかった。まあ、噂では聞いていたが。
わたしは「新潮現代国語辞典」を使つているのだが、この辞書の特徴を教えてもらった。
「漢語も、厳密には外来語の一種であることは、だれでも頭では知っている。固有の日本語ではなく、借用語である。
そうと知ってはいるが、日本人にとって、漢字・漢語との付き合いは長い。長い以上に影響力がきわめて大きい存在である。
平仮名も片仮名も漢字から生まれている。
漢語が借用語だという意識は非常にうすい。和語か漢語か分かちがたくなっている言葉も少なくない。
いわゆる外来語である洋語に対して、漢語の位置は、限りなく和語に近い。われわれは、ふだん、和語と漢語をひっくるめて日本語と漠然と考えている。それらに対するよそ者が外来語(洋語)なのだ。
日本語の多くの辞書が、見出しの漢語を和語とともに平仮名で表しているのも、その反映であるにちがいない。
だが、『新潮現代』における漢語の片仮名の長い列は、「漢語も移入語なり」と表明しているようだった。国語の中にすっかり溶けこんでしまい、ともすると忘れがちな、漢語も他国から移入された語だという事実を視覚に強く訴えている。」(P.29~P.30)
「見出し語の表記の工夫だけで、こうしたことを“主張”できるという発想も驚きの一つだった。」(P.31)と、この本の著者も書いている。
たしかに菊は「キク(菊)」となっている。「きく(聞く)」は平仮名だ。使っていてちっとも知らなかった。
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