「博士の愛した数式」(小川洋子著:新潮文庫)が売れて、映画化までされました。
突然、オイラーの等式が出てきて、面食らった人も多かったのではないでしょうか。
数学者が出てくる小説で思い出されるのは、『ペトロス伯父と「ゴールドバッハの予想」』(アポストロス・ボダニス著、早川書房)である。
2ちゃんねるの数学板でも指摘している人がいたが、小説としてはこちらの方がずっとおもしろいと思う。
たしか、著者は数学者か大学で数学を学んだ人なので、その点で小川洋子さんと比べるのはかわいそうだが、それにしてはオイラーの公式の方がゴールドバッハの予想より、一般の人にとってはずっと難しい。
オイラーの公式とは、e(自然対数の底)の(ix)乗=e^^(ix)=cos(x) + i sin(x)
というもので、この式で、x=π とおくと、e^^(iπ)=cos(π) + i sin(π)= -1 となる。
(ここで、i は虚数)
cos(π)=-1, sin(π)=0 です。
覚えていますか?
オイラーの公式をちゃんと理解したい方には「優雅なe^^iπ=-1への旅」(河田直樹著、現代数学社)がお薦めです。
一方、ゴールドバッハの予想というのは、
「4以上の偶数は、二つの素数の和で表せる」というものです。
たとえば、10=3+7,12=5+7、14=3+11 など。
予想そのものは誰にでも理解できます。
ギリシア人で数学の天才と呼ばれた「ペトロス伯父」は、この予想を証明しようとして、一生を棒に振ったというのが、小説の主題です。主人公は甥っ子で、伯父さんに憧れて数学者を目指します。
ちなみに、ゴールドバッハの予想は、現在も証明されていないそうです。実際に取り組んでいる数学者がいるかどうかもわかりませんが。
そのほか素数に関して、未解決の問題が多くあるようです。
素数全般については、「素数大百科」(Chris K.Caldwell編著:共立出版刊)という本もあります。この本によると、素数に関しても、オイラーの貢献は大きいものがあります。
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