「古くさいぞ私は」 (坪内祐三著:晶文社刊)に「世田谷区立中央図書館の充実ぶり」と題する文があった。
世田谷区立中央図書館は、2週間に1回(貸出期限が2週間なので)、いつも行っている図書館だ。自宅から歩いて30分くらいだから、歩いて行けば運動にもなって良いのだが、借りたい本が5冊あって、それも分厚い本が混ざっていたりすることを考えるとつい自転車に頼ってしまう。
少しこの本から引用してみたいと思う。
「例えば私は去年(1996年)から「諸君!」で「戦後論壇の巨人たち」という連載を続けているけれど、あの連載に登場した福田恒存や小林秀雄はもちろん、田中美知太郎や大宅壮一、小泉信三、唐木順三といったシブい人びとの全集も世田谷区立中央図書館には揃っている。」
「そんなもんじゃない。『宮武外骨著作集』(河出書房新社)だって、・・・」と続くのであるが、「昭和六年から昭和二十六年にかけて斎藤昌三という畸人が編集していた『書物展望』という伝説の名雑誌(全百七十号)があって、その復刻が何年か前に臨川書房から合本二十六巻二十五万円で出た。それをこの図書館で目にした時は、驚きを超えて、一体何という図書館だろう、ここは、と思った。」
伝説の名雑誌とは知らなかったが『書物展望』はよく借りて読んでいたが、しばらく借りないでいたら、保存庫に移されてしまった。まだ五分の一くらいしか見ていなかったのに残念だ。こういうのを借りると自転車でないと辛い。
その他に、坪内祐三は触れていないが「小酒井不木(こざかい・ふぼく)探偵小説全集」(本の友社、全八巻)なんていうのもあった。
探偵小説の走りのような本で、トリックのほとんどはこの全集に詰まっているのではないか。これはほとんど読んだ。
自由が丘の古本屋で「小酒井不木全集」(改造社)を見つけて、買おうとしたら、店番の若い店主が話しかけてきて、「わたしは『小酒井不木探偵小説全集』を全部読みましたよ」と嬉しそうだった。
その古本屋も、この間自由が丘に行った時に寄ってみたが既になかった。「ブックオフ」のせいだけでもないだろうが古本屋は消えつつある。
最後に一つ「古くさいぞ私は」からの引用
「世田谷中央図書館の電車の最寄り駅は世田谷線上町か新玉川線桜新町である。往復電車賃が5百円以内で来られる人は来て絶対に損はしない。なぜなら地下のカウンターに行って頼めば大宅文庫の無料入館券をもらえるのだから。」(P.52)
とある。
新玉川線桜新町は現在、田園都市線桜新町と路線名が変わっている。
念のために。私には大宅文庫まで行って調べ物をすることはないだろう。ただ、電車賃はいらないので損はしていない。
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